「『子どもたちよ。食べる物がありませんね』彼らは答えた。『はい、ありません』」ヨハネ21:5

ペテロは、大好きな主を裏切ってしまった。その心はどんなものだったろう。主に合わせる顔がない。心は暗たんたるものであった。深い痛みと後悔、虚無感。重い心でなすすべなく、かつて主に従って行くために、捨てた網を再び取り、漁に出た。しかし魚は一匹もとれない。

 

かつてはベテラン漁師であり、漁においては自負があった。追い打ちをかけられるように、ますます打ち砕かれ、惨めで、どん底だった。そんな時、主から御声が臨んだ。「食べる物がありませんね」正直に自分の状態を認めた。「はい、ありません」まさに実情だ。そして、これがいつも回復への秘訣だ。自分には無い、無力である事を、正直に認める事だ。

 

愛が無い、能力が無い、信じられない・・。その時「右側に網をおろしなさい」との指示が来た。彼らは、ただ言われる通りに、網を右側に下ろした。すると網が引き上げられないほどの大漁だった。どのような中であれ、主の御声に従う事が大切だ。無力で構わない。御声に従う時、神の力が臨み、みわざを見る。

 

主の方から臨み、ペテロを回復させて下さった。「主よ。あなたはいっさいのことをご存じです」と、ペテロはいっさいを主に明け渡した。主はペテロを聖霊に満たし、主の昇天後、再び大いなる働きのために立てられた。どんなに失敗しても、落ち込んでも、その時の、主からの語りかけに一歩従おう。今、主の示しがあるなら従おう。

 

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無力を覚える時、主を仰げば一方的に注がれる恵みに気づく。何と慰めだろう。愛が無い、能力が無いとしみじみ認める時が最も近くに主を感じる時だ。素直に主に従える。