「その人は言った『あなたの名は、もうヤコブとは呼ばれない。イスラエルだ』」創世記32:28

ヤコブは「押しのける者」との意味で、自我が非常に強く自分を通す者だった。が、神の祝福を求めた。父と兄エサウをだまし、祝福を奪い、家におれずに逃亡。遠く伯父宅に身を寄せるが、したたかな伯父ラバンに娘の結婚の事でだまされる。妹ラケルを愛したが、姉レアが先だとだまされた。

 

かつて父と兄を欺いたが、蒔いたものは刈り取る事になる。伯父の下で労苦し、苦しい訓練となる。だが伯父の上を行く狡猾さで、自分の家畜を増やし、財産を増し加えるヤコブ。20年経て、伯父の態度も変わり、おりづらくなった頃、主から帰郷を命じられる。しかし兄が恐怖だ。怒りで、家族皆殺しにされるのでは。

 

極度の不安と恐れが、どうにもならない。家族も財産もヤボクの渡しを渡らせ、ヤコブが一人、あとに残った。その時、ある人が彼と格闘した。ヤコブは死に物狂いで、もがいた。夜明けまでかかり、どうにもならず、その人はヤコブのもものつがいを打った。強いエゴのかたまりであるヤコブは砕かれた。自我が砕かれ、神の前にくずおれた。

 

「あなたを去らせません。祝福して欲しい」と祝福を求め、しがみついた。「あなたの名は」と聞かれ「ヤコブ(押しのける者)です」と答えた。「もうヤコブではない。イスラエル(神の王子)だ」と、その場で祝福された。びっこになり、杖無しで歩けない。主にすがらずば一歩も進めない。無力になった時に、初めて主を頼る者と変えられ。

ヤコブが恐怖から解放された瞬間だった。傲慢、狡猾なヤコブは変えられ、主に信頼する祈りの人とされた。 

 

・・・・・・・・・・・・

自我が強くてどうにもならないが、主がヤコブを取り扱い、主が自我を砕かれたことに、救いを見せられる。ヤコブを握って放されなかった主は、その愛により、私たちを御子のかたちへと変え続けて下さる。目の前の問題もそのためと受け取れる。

 

発行 広島聖書バプテスト教会 み言葉配信係