ハンナとペニンナは二人共、エルカナの妻だった。ペニンナには子どもがいたが、ハンナには子どもがなかった。一夫多妻には問題が起きる。エルカナはハンナの方を愛していて、心がハンナにあったペニンナはそれを妬み、憎しみはハンナに向き、ハンナへのいじめとなった。子どもの事で、ハンナをひどくいらだたせるようにした
子どもが欲しかったハンナは、つらく、苦しく、泣いて食事もできなかった。エルカナの「あなたにとって、私は十人の息子以上の者ではないのか」との言葉は、「私にとって、あなたは十人の息子以上の者」ならまだわかるが、全く何の慰めにもならない。
夫にも理解されず、ハンナの苦しみは頂点に達した。ハンナはペニンナのいじめの被害者ではあるが、ハンナにもペニンナへの羨望、妬み、怒りがあったろう。双方が苦しかった。当時、不妊は主に祝福されていないとの迷信があり、それが最もつらかったかも知れない。
ハンナはどこにも救いがなく、それゆえ主に追いやられ、徹底的に祈る事を決心した。感情をぶつけ、号泣し、長く祈り、心を注ぎ出し、憂いといらだちを吐き出した。主に向き合い、自分に向き合い、奥底を洗いざらい告げて行った。
そして祭司からの「安心して行き・・」願いが叶えられるようにとの言葉を受け、ハンナは180度変化した。顔が別人になり、すっきり平安に、晴れやかになり、食事ができた。心の嘆き、憂い、苦しみを、主のもとに携える時、主が受け取り、平安と交換して下さる。
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人はみな不完全で、心の痛みの解決を探しまわっても見つからない。主が傍におられ、常に祈れる恵みに感謝だ。主が聞いてくださり、ハンナのようにそこから生きる目的も使命も与えてくださる。